トランスミッション基礎講座

トランスミッションとは

トランスミッション(変速機)はエンジンの後ろに搭載され、エンジンからの回す力(トルク)や回転数を、走行条件に合わせ増減および逆転をさせてタイヤに伝えるための部品です。

トランスミッションとは

トランスミッションの原理

かみ合った一対のギヤで、大きなギヤで小さなギヤを回すとき、小さなギヤの回転数は多くなります(図1)。
逆に小さなギヤで大きなギヤを回すと、大きなギヤは回す力(トルク)が大きくなります(図2)。

原理 図1

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回転数が2倍に
図1

原理 図2

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回す力(トルク)が2倍に
図2

この原理を利用したものがトランスミッションです。
車両は、発進するときや坂道を上り下りするときには、回す力(トルク)を必要とし、逆に高速走行をしているときにはよりスピードを早くするために、回転数を増やすことが必要となります。また後進するときには、回転を逆にすることを求められます。
しかし、エンジンのトルク、回転数、回転方向は自由自在に変化させることはできず、ある一定の範囲内で変動するのみです。そこで、トランスミッションは、エンジンからのトルクや回転数、回転方向を、ギヤを組み合わせることによって車両が必要とする最適なものに変化させているのです。

トランスミッションの種類

トランスミッションを大きく分けると、縦置きエンジン車用のトランスミッションと、横置きエンジン車用のトランスアクスルの2つがあります。
また機能性で分けると、ドライバー自身が切り換えの操作を行う手動変速機(MT)、自動で切り換えを行う自動変速機(AT)、無段変速機(CVT)、他には平行軸ギヤに2つのクラッチを持たせたデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)や、MTのシフトチェンジを自動化した自動変速マニュアルトランスミッション(AMT)等に分類されます。

縦置きエンジン車用トランスミッション

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縦置きエンジン車用トランスミッション

横置きエンジン車用トランスミッション

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横置きエンジン車用トランスミッション

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ギヤトレイン

マニュアルトランスミッションの構造

マニュアルトランスミッションは、メインとカウンターという2つのシャフトに付いている複数のギヤが、それぞれ一対になるように配置されています。

それぞれのギヤセットは常にかみ合っていますが、シャフトとは連結していません。シフトレバーで選ばれた、一つのギヤセットが、メインシャフトまたはカウンターシャフトと連結され、トルクや回転をトランスミッションから外へ伝達します。それ以外のギヤセットは、空転をしていてシャフトにトルクや回転を伝えません。
かみ合ったギヤセットの数が、トランスミッションの変速段数になります。自動車のカタログにある、5速MTの5という数字は、トランスミッションの構造に5つのギヤのセットがあり、5段階でトルク、回転数を変えることができるということです(後進は段数に含まれません)。
この段数は、多くなればなるほど、細かなトルクと回転数を発生させることができるため、より最適な走行条件を選択できるようになり燃費の向上が期待できます。ただ一方で、段数を増やすということは、ギヤの数が増え、質量の増加やMTが大きくなってしまうという影響もあります。
車両の特性に合わせて段数を設定することは重要です。

マニュアルトランスミッションのための重要な機構

変速はギヤとシャフトを連結させることで完了します。しかし、回転差のあるギヤとシャフトを連結させるのは簡単にはできません。
ここで活躍するのがシンクロ機構です。
シンクロ機構とは、トランスミッションのギヤの等速かみ合い装置のことです。シフトチェンジをする時に、スリーブ(ギヤとシャフトを連結させるための部品)が移動する前に、シンクロリングと呼ばれるギヤにつけられた部品を、回転差のある他のギヤに押付けることによって回転差をなくし、スムーズに別のギヤとシャフトとの連結を完了させます。

ユニバンスのトランスミッション

ユニバンスのトランスミッション開発は、ドライバーの操作にすばやく反応し、より自然でなめらかな変速をする製品を目指しています。
また私たちはこれまで、乗用車用トランスミッションだけではなく、より過酷な状況で使用される、商用車用、農業機械用、産業機械用のトランスミッションも開発してまいりました。その経験から、厳しい条件でも最適な変速が可能で、軽量、コンパクトな製品を提案できます。

ユニバンスのトランスミッション